君の声を抱いて歩いていく

同じ大学を何度も受けられる最近の大学受験ルールの中で、たった一度きりしか受験しなかった大学から追加採用の通知の電話を貰ったのが、高校3年の3月も24日。
そんな偶然という縁があって、大きくて長くて圧力のある、あの階段を昇り始めて4年。
様々な出会いがあり、たくさんの挑戦があり、多くの失敗と挫折があり、それでも誰かの優しさに支えられて、幸福も後悔も、出会ったものすべてが今の自分を作り出してくれました。

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2010年1月のはじめの週のこと。高校の頃、それなりに評価してくれていたはずなのに「デザイン系で大学を受けるなら、あなたの実力で合格は難しい」と言われた美術の先生が亡くなりました。
卒業してからなんとなく疎遠になってしまっていた先生に、合格した大学のデザイン学科を卒業できそうだということ、デザイナーとして就職が決まったことなどを報告出来なかったことがとても悔しいです。
あの言葉を見返したいとずっと思っていたのに、きっとそれを聞いて喜んでくれるということも分かっているのに、それを伝える相手を失ってしまったことに気付き、先生の死を実感しました。

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それに比べて、またいつか会う事のできる、この別れたちは軽いものなのかもしれません。
明日も明後日も、呼びあえばすぐに会える関係がなくなってしまうだけなのです。
けれど涙は溢れてしまって、私たちがいなくなることに泣いてくれる後輩もいて、それでまた泣けてしまって、の繰り返しでこの1週間程を過ごしました。

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今日、2010年3月22日、京都造形芸術大学を卒業します。
他の大学へ行けば他の出会いがあったでしょう。けれども、私はこの大学で4年を過ごせた事を嬉しく思い、また誇りに思います。
昨日知らなかったことを明日は理解出来るかもしれません。そんな昨日の私を明日の私が悲しむこともしたくありません。今日で何かが終わるけれど、何も終わりはしません。明日も明後日も続くものがあって、それは不変ではないけれど普遍です。今日大切なものを明日も大切にしたいです。

神よ、
変えられることは変える勇気を、
変えられないことは受け入れる冷静さを、
そして
変えられることと変えられないことを判断する知恵を、
私に与えて下さい。
- ラインホールド・ニーバーの祈り

普通の学生生活が普通に閉じて行く普通の幸せですが、これは私にしか体験できなかった私専用の特別な普通なのです。

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Hi,my life. I love you!